テレビで東洋医学特集 その4

NHK-東洋医学




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最後に弁証論治の説明。

 

問診と体表観察により患者さんの身体がどういう状態にあるか、

病の原因はどこにあり、
発症から現在に至るまでどういう経緯を辿ってきたかを見極め、

導き出された「証」に対してどういった方法を用いて治療していくか、

これが弁証論治です。

「証を弁えて治()を論ずる」という事ですね。

この「証」というのが、わかりやすく言えば

「診察から導き出される診断名」と言ったところですが、

現代医学のいわゆる「病名」ではありません。

「現時点での身体の状態を表すもの」です。

病名に当たるものは東洋医学では「弁病」で導き出され、

これはまさに古くから言われている病名です。

 

結核の事を「労咳」と言ったり、

頭鳴を伴う激しい頭痛を「雷頭風」と言ったりしていました。

でも、東洋医学では病名を重視せず、証を重視しています。

病名に関しては、現代において一般的に用いられているものを使おうが、

昔からの呼び名を使おうがあまり変わりはありません。
(古名を敢えて使うのは、尚古主義?懐古趣味?ですかね)

 

ですから、大事なのは「証」です。

同じ病気でも人により、場所により、季節や時間により、

或いはその人の過去の病歴などによる体質によってタイプが違います。

それを区別するのが弁証です。

便秘の患者さんがいたとして、現代医学では下剤が処方されます。

でも東洋医学では、熱の病なのか、冷えの病なのか、

或いはそのどちらでもないのか、タイプによって対処が異なります。

全体的に弱っている傾向の方と、体力・気力共に充実している方でも異なります。

現代医学では下剤の量を変えたり、種類を変えたりはしますが、

基本的な方針は単一でしょう。

でも東洋医学では、気の停滞によるものなのか、

消化器の弱りによるものなのか、考え得る様々な可能性を考えて探っていきます。

番組では鍼灸以外に漢方薬の紹介もされていましたが、

漢方薬も中国生まれで、専門的には「湯液」と呼ばれ、

そのベースとなる考え方は鍼灸と同じです。

ですから、どちらも「証」に基づいて

「何の薬を処方するか」「どこのツボに鍼を刺そうか」を決められます。

この点についても、是非紹介してほしかったのですが、

全く取り上げられていませんでした。

非常に残念!!

 

テレビで東洋医学特集 その3

NHK-東洋医学




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人間は、自然界との関わりあいを無視できません。

気候の変化などに対して、自分たちの環境や食生活をあわせ、

自然と共存していくことが大切であり、

自然と自分とのバランスが崩れたときに病気になると考えることができます。

気候や気象の変化が身体に影響するので、

季節や時間によって起こりやすい症状も異なりますし、

住んでいる地域によっても大きく違います。

これが三因制宜のうちの因時制宜(時間や季節によって対処が異なる)と

因地制宜(地域によって対処が異なる)です。

そして、こういった自然と人や動物が密接に関わるという考え方の

根底にあるのが天人相応思想(または天人合一思想)です。

天の気が狂えば、そこに住む人間の気も乱れます。

異常気象などがある時は、人体のリズムも乱れやすいのです。

この考え方を更に具体的に発展させた(と思われる)のが天地人三才思想です。

と思われる、と書いたのは文献などの記録上、

どちらの考え方が先に生まれたのか不明だからです。

でも考え方の内容から言って、天人相応思想(天人合一思想)の方が先のような気がします。

天地人三才思想とは、天・地・人の3つがそれぞれ影響しあうというものです。

例えば、先程から説明する通り、天の気が乱れれば人の気も乱れます。
(異常気象→人の身体に影響

そして、天の気の乱れが地の気の乱れに影響することもあります。
(異常気象→地震)

更に、人の気が乱れて、それが天地の気の乱れにつながることもあり得るという考え。

これは、政治などの社会情勢の乱れが天変地異につながるという考えです。

ここまでくるとオカルトに近いものがありますが、

私はこの考え方は大切なものであると思います。

この考え方が正しいか否かではなく、政治的な指導者は、

こういう考え方を持つことで自然に対して畏敬の念を持ち、

常に謙虚に己を律するべきであるからです。

長くなりましたが、この天人相応、天人合一、天地人三才思想は

東洋医学の根底にある大事な考え方ですので、

やはり今回のテレビでも触れてほしかった内容です。

でも、ちょっと難しいかな・・・。