当院は北辰会方式の鍼灸治療を行っております
医学・医療としての鍼灸治療です

 詳しく問診をしてから、更に体表観察をすることで多面的に情報収集をして、病気の原因と病理(病気に至るメカニズム)を明らかにし、
その時点での証(西洋医学でいう診断名)を決定し、適切な経穴(ツボ)に鍼や灸を用いた施術を行います。

 短絡的に「凝っているところに鍼を刺す」「痛みがあるところに鍼を刺す」「冷えているところにお灸する」といったことは行いません。
 西洋医学とは、病気や症状に対する考え方が違います。病院で診断された病名や病状は参考にはしますが、あくまでも東洋医学の診断学(多面的診察・弁証)によって判断し、鍼灸施術をいたします。

 西洋医学での診断で治療が難しいとされていてもスムーズに治ったり、改善されるケースも多くあります。これは医学の東・西によって人体の生理・病理に対する認識方法が異なるためです。

 東洋医学では人体において起こりうる現象をすべて「気」の作用によるものと考え、病気とは、人体における「気の歪み」ととらえます。この「気の歪み」を矯正して健康に導くのが鍼灸治療なのです。

伝統鍼灸とは

 東洋医学の理論による診断学・治療学を用いた鍼灸施術のことです。
鍼灸は、2000年以上前に中国で生まれ、日本に伝ってから
およそ1500年。日本人の病を癒し、健康に導いてきた伝統鍼灸の技を
現代人の皆さまのお身体に合うよう、当院では日夜研鑽しております。

多面的な診察と少数鍼

東洋医学の理論に基づいて弁証(西洋医学でいう診断)を行うために、四診(望・聞・問・切)という診察法を駆使します。

望診:顏色、顔面各部の観察、舌診(舌の色や形状)の観察、爪や手足の色、腹部・背部の色や形状などを詳しく診ます。

聞診:声色・声の大きさ、患部の音や臭気から、病の性質や体力の程度・病の勢いを知ることができます。

問診:病や症状が現れるにあたり、その背景にどういった生活の変化があったのか、またどういう生活習慣や日々の飮食の状況があったのかなど、多岐にわたってお聞かせいただくことにより、病の原因や性質、予後(今後起こりうる病態の変化)などを判断してゆきます。

切診:望診・聞診・問診から得た情報を踏まえた上で実際にお身体に触れてツボの状態などを診ます。

※以下切診の具体的内容

脈診:手首の脈の打ち方(速さ、リズム、硬さ、形状など)で体力と病気の力のバランス、病気の性質や位置などを確認します。また鍼灸施術後の脈の変化から、施術の効果判定を行います。

腹診:お腹の各部の緊張度や寒熱、身体の上下左右のバランスや内臓の状況を確認します。

背候診:背部にある五藏六腑に対応する経穴(ツボ)を詳しく観察して、臓腑のバランスの崩れを確認します。

原穴診:手足に合計12個ある各経絡の代表穴である原穴の状況から、病んでいる臓腑・経絡を判断します。

以上のように多岐にわたる観察により、病・症状発生のメカニズム(病因病理)を知ることができ、今の時点で気の歪みがどういったものであるのかが、明確になります。それに基づき、少数(1~数ヶ所)の経穴(ツボ)を選択してダイナミックに気の歪みを矯正してゆくのです。

養生鍼のすすめ

~病気にならないようにケアをするという考え~

 適正なペースで鍼灸治療を受けることは、病を治していく上で非常に有効です。それと共に、病の原因となる習慣を出来るだけ排除し、身体のためになる養生法を実践して頂くことは、治療効果を高め、早期に病を改善するために大切な要素です。初診時や再診時に、改善すべき生活習慣や積極的に取り入れていただく養生法についてご案内いたします。

 治療と養生により、当初の病・症状が改善されても、月に1~2度は鍼灸を受けることをお勧めしております。現代人は、文明の享受とともに本来の「自然と一体感のある生活」を送ることが難しくなっております。養生として鍼灸を受けていただくことにより、「治未病」すなわち、<症状が現れない小さな歪みのうちに改善すること>が出来ます。大病知らずの人生に大いに寄与するものと考えております。

北辰会について

 1979年、藤本蓮風先生を代表に、伝統鍼灸の有志の団体として創設されました。主な活動内容は、藤本蓮風先生の膨大な臨床実践から、誰もが学べる診断治療法則を理論化するための「北辰会方式」を構築し、伝統鍼灸に基づく臨床研究・啓蒙・後進の育成を通して、世の中に広く本物の鍼灸の素晴らしさを広めていくことです。
 院長は学生時代から関東支部の定例勉強会に通い、その後、代表である藤本蓮風先生の治療院「藤本漢祥院」に住み込んで内弟子修行。東京で開業した現在も年に1~2回大阪で行われる本部定例会に参加しています。また、奈良の藤本漢祥院で藤本蓮風先生の治療を見学・研修しています。

施術に用いる鍼について

<毫鍼>

刺す鍼で、毫鍼(ごうしん)と言います。完全滅菌処理されていますので衛生的で安全です。
一番上に置いたのは比較の為のつまようじです。
鍼は上から、長さ1寸6分

太さ0.25mm
2番目は奇経鍼 太さ0.25mm
下は短鍼 太さ0.18mm

太めの毛髪くらいの太さです。

<古代鍼>

刺さない鍼です。
上は真鍮製、2番目はステンレス製
下は比較の為のつまようじです。
先が尖っていますが、ツボに触れるだけ、又は、かざすだけなので痛みはありません。古代中国のお墓から出土した鍼の形を基にして作られました。

<打鍼>

こちらも刺さない鍼です。
安土桃山時代に日本で創案された鍼術を基にして、藤本蓮風先生が考案しました。左から銅・ステンレス・百日紅の木の鍼です。鍼をお腹に当てて、木槌で叩いて施術します。全く痛みのない施術となります。