あれから9年



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本日、東日本大震災発生から9年です。

震災により亡くなられた多くの方のご冥福を祈念いたします。

また、震災と原発の事故により家族を失い、家を失い、職を失い、辛い思いをされながらも懸命に頑張っておられる皆さんを応援しております。

当時、私は都内の鍼灸接骨院に勤めていました。まだ資格をとって2年目の若輩者。

印象深い症例がありました。

震災の数週間後に、とある女性患者さんが鍼灸治療を希望して来院されました。

新宿の高層ビルの中で仕事をされている方で、

地震の時も地上50階くらいの所にいて、

長時間揺れが収まらず、大変怖い思いをされたそうです。

その後、交通網が麻痺していたため、

自宅まで2時間ほどかけて歩いて帰宅。

その後から喉の異物感を発症されていました。

当時の私は北辰会に入って2年ちょっと。

毎月、関東支部の定例会に通って勉強していましたが、

まだまだ北辰会方式の「ほ」の字も理解していない時です。

でも、持てる限りの知識を総動員して、

身体のどこが悪いのか考えました。

そして、持てる限りの経験を駆使して

患者さんの身体に触れて、ツボの反応を探りました。

今ではほとんど一本の鍼で治療していますが、

当時はそんなカッコいい治し方は出来ません。

迷いながら選穴候補を絞りました。

完璧とはとても言えない治療でしたが、

二度目に来院した時は、喉の異物感が半減していました。

その患者さんは、私が勤めていた接骨院に来るまでに、

別の治療院でも治療を受けたそうですが、全く変化なかったそうです。

その後、二回ほど同じ治療をして、主訴は完全に良くなりました。

駆け出しの頃で未熟な治療でしたが、

震災関連による身体の変調を治すことができただけでなく、鍼の凄さを実感することができた、思い出深い症例です。