<鹹(かん)>以外は読んで字のごとく。<鹹>は「しおからい」、つまり塩味だ。
五味それぞれに性質があり、漢方薬では、その使われる生薬ごとに味がある。
例えば「辛い」味には散らしたりめぐらせたりする、発汗・行気の作用がある。
酸味は収斂(しゅうれん)と固渋(こじゅう)作用で、緩み過ぎたものを引き締める。
歩き過ぎなどで疲れている時に酸っぱいものをとると、疲労した筋肉を引き締めることができる。
このようにそれぞれに作用があるのだが、問題の<甘味>はどうかというと
まず<滋補>という作用がある。
生薬にもよるのだが、気を補ったり、血を補ったりできる。
そして、和中・緩急という作用もある。
これは漢方薬の配合で、異なる性質を持つ生薬を組み合わせる時に
いわゆる「つなぎ」になったり、効果がきつすぎる生薬の効能を緩やかにしたりする。
問題なのは、<滋補>の部分である。つまり<補う>作用。
一見して、とても体に良さそうな「滋補」という言葉。
「滋養強壮」なんて言葉があるくらいだから、なんの問題もなさそうだが
どの味についても摂取過多は良くない。
特にこの現在の飽食の時代は、栄養が行き届いている。
滋補の代表的な生薬のひとつが「人参」。いわゆる朝鮮人参とか高麗人参。
朝鮮半島から日本へ初めて伝わったのは739年と言われている。
その時代以降、江戸期頃までなら、栄養状態の悪い人が今よりも多くいただろうから
たくさんの人に有用な生薬であったろう。
しかし、現代ではほとんどの人には向かない。飲むとしても一時的かつ限定的で、
長期にわたって飲むようなものではない。
過去に何度もこのブログで訴えているが、
証(病気となる体のバランスの崩れのタイプ)にあわせて
鍼を刺すツボや、漢方薬の処方が選ばれるべきである。
身体によいからと、やみくもに漢方薬を飲んでも効かない。
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