人間の歴史を振り返ってみると、文明の発達とともに
医療における倫理感もまた、発展してきたことがわかる。
前回、人から切除した腫瘍細胞を、本人には無断で培養した話を書いたが
中国・明代の本である『本草綱目』を見れば、
人体の一部を薬として用いていた歴史がある。
この『本草綱目(ほんぞうこうもく)』という本は、
古代の中国において成立した<本草学>という学問の本で、
この分野において最も内容の充実した古典といわれている。
本草学というのは、<薬として使える素材の博物学>とでも言えばわかりやすいか。
この本は、作者の李時珍がおよそ27年もの歳月をかけて、
3度も書き直して完成した大著である。
全52巻あり、収録されている生薬の種類は1892種。
全ての生薬の性質や用い方、処方などの他、
過去の類似の書物の誤りも訂正されているすごい本である。
完成してから18年後、作者の李時珍の死後に出版され
数年後には日本にも輸入されて、中国でも日本でも重版されている。
この本のなかで、人間の毛髪・爪・骨はもとより、胆嚢や垢、尿に至るまで
薬として用いることができるという記載がある。
古代の中国に限らず、日本でも一部の書物の中に同様の記載があるようだし
ヨーロッパではミイラが薬の材料として珍重されていたようだ。
江戸時代には、処刑した後の罪人の胆嚢を乾燥させてから
薬として販売していた記録があるし、
人体を医薬品の材料にした歴史は非常に古くからあって、
形は違えど、現代のips細胞を用いた医療法やプラセンタなどは
これらの延長上にあると私は考える。
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