良い熱・悪い熱 その6

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人参

いわゆる朝鮮人参とか、高麗人参と呼ばれるもの。

身体が元気になって、とても良さそうなイメージを持つ方が多いだろう。

原産地は現在の中国と北朝鮮の国境辺りとされる。

約2000年前の『傷寒論』や『神農本草経』にも記載されている生薬で

古来から非常に珍重されてきたものだ。

日本に伝わったのは739年とされているから、奈良時代である。

当時の人の栄養状態は決して豊かなものではなかったろう。

人工栽培に成功した江戸時代も、今と比べれば豊かでなかったろうし

そういう時代だからこそ有難がられたのだろう。

しかし、この飽食の現代においてはどうなのか?

人参の性質は<微温>である。

効能は<補気固脱>や<補脾気>・<益肺気>など。

大病や長く病を患っている時、大出血、激しい吐き下しなどでショック状態にある時など

かなりきつい状態にあるときに処方されるものである。

書物にも「日常に常飲する場合は量を少なく、救急時には大量に処方」とあり

「虚弱者が飲む場合も週に1回程度で良い」とある。

陰虚の者や、肺熱のある者、熱証の者には禁忌である。

健康に良いからと、体質に合うかどうかも考えずに無闇に服用するのは危険である。


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