ひきだし

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中渚(ちゅうしょ)というツボがある。

手の甲にあり、小指と薬指の間から手首に向かっていって

骨と骨の間の狭まったところにある。

師匠は「最近ではほとんど使わない」とその著書『経穴解説』の中で書いているが

師匠ほどの腕を持たない自分にとっては、

患者さんの悩みに対応するための、抽斗のひとつとして時々使う。

このツボは、「渚」という字からもわかる通り、水際の意味を持つ。

属する経絡も手の少陽三焦経であることから、身体の水分代謝などに関わる面を持つ。

ゆえに同じく水分代謝に働き、三焦経と関わりの深い<腎>の問題にも効果がある。

腎陽の弱りから来る腰痛などにも効果がある。

更に、肩こりは身体の「上」の問題であるが

「下」の腎の弱りがあるために起こる、気逆(きぎゃく)による肩こりの場合、

このツボを使って対処することができる。

肩に「肩井(けんせい)」というツボがあるが

ここに触れるとゴリゴリとした硬結(こうけつ)があって

マッサージなどを長時間受けてもスッキリしない場合に

よく身体を診ていくと、中渚の左右差が著明に出ていることがある。

「120分マッサージを受けてもこのゴリゴリがとれない」と自慢げに話すおばちゃんの

この中渚に鍼をしたところ、10分ほどで硬結が消失した。


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rogo_yoko

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